本校は大正15年4月に阿賀崎の玉島農商補習学校を仮校舎として開校した。そして第五学年まで揃った昭和4年7月に現在の末広町(玉島中央町)校舎に移転している。第1回の卒業アルバムに新築工事に着手する前の地鎮祭の様子が写っている(工事は昭和4年2月着手)。写真上部の煙突のある建物群は、一鱗(いちうろこ)酒造の醸造所と屋敷(右側の立派な建物。拡大すると普請中であることがわかる)である。現在、煙突は消え、醸造所はアパートに変わっているが、屋敷は健在である。第1回卒業生34名。ご壮健なら百歳の誕生日を祝われているはずである。〈文責:校長〉                                                                                      山しぐれ酒やの蔵に波深し  良寛                                                   宮尾登美子の「蔵」と藤沢周平の「蝉しぐれ」は、圧倒的に映画よりもNHKドラマの方が良かった。「蔵」の主人公“烈”役の松たか子と子役時代を演じた井上真央が良かった。「蝉しぐれ」は牧文四郎役の内野聖陽とお福役の水野真紀が良かった。「蔵」の舞台は新潟で、良寛さんのふるさとである。酒蔵には麹(こうじ)という“神”が宿り、海底(うなぞこ)のように深遠な場所であった。                                                     商人(あきんど)の夢を養う冬田かな  玉                                                                                            玉の海が陸地となり、田となり、商高の校地となり商人を育む。玉商に学びし者に、進取の気性持たざるはなし。