私の愛用している角川書店の俳句歳時記には、桜紅葉は「美しいものではない。」とある。断固抗議したい。桜は四季を通じて美しい。春の桜は言うまでもないが、夏の葉桜、秋の桜紅葉、冬の枯れ木、みな風情があり美しい。桜紅葉が秋の日に照らされる姿は大変美しい。花に比べればと人は言うかも知れないが、毎日桜の木を見る者としては、「風にそよぐ桜」、「木もれ日を生む桜」、「葉を舞い散らせる桜」、「北風に音する桜」の美しさを断固主張するものである。万歩譲って美しくないとしても、趣は大である。とは言うものの、葉桜の紅葉は二分から三分くらいの時がより美しいと思う。〈文責:校長〉撮影11月2日 葉が出た桜家の屋根そらはかはりなき大きな空 一碧楼 (葉が出た桜 家の屋根 空は変わりなき大きな空 季語・葉桜…夏) 桜紅葉しばらく照りて海暮れぬ 角川源義 角川に敬意を表するわけではないが良い句である。桜紅葉は合わせ技一本が基本かも知れない。特に光と相性がよいようである。印象派の絵を見る風(ふう)がある。 ※角川源義(かどかわ げんよし)…角川書店創立者。俳人。 ルーブルはストなり“印象・日の出”見る 玉 パリに行ったことがある。ルーブルに行くことを楽しみにしていた。ストだった。代わりに旅行社が案内したのがマルモッタン美術館である。そこは、モネの美術館だった。モネは「光の画家」と呼ばれる。私は、「印象・日の出」の前で時を忘れた。ストに感謝している。 ※「印象・日の出」…印象派の名称の由来になったモネの記念すべき作品。